コンプレックス

人のコンプレックスが好きだ。

この人こんな所を気にしてるんだろうなって想像するのがたまらなく楽しい。

逆にコンプレックスが全く見えない人に出会うとどうしたらいいのかわからなくなってしまう。

相手のコンプレックスを発見してからでないと、その人と上手に会話をする事も出来ない。

 

不思議なもので、相手のコンプレックスを見つけようとしたら、必然的に良い所も見つかのだがそこにはあまり興味がない。

というかコンプレックスも良い所も同じ様なものだと思っている。

良い所っていうのは本人も自覚してアピールしてたりするのでつまらないのだ。
いちいち相手がバラしたい部分を見つけた所で、何も興奮しない。

 

隠すから楽しいのだ。

パンチラみたいなもので見えないから見たい。隠しているから興味があるのだ。

 

コンプレックスっていうのは長所だったりもする。

特にロボットデリヘルって土俵だと、そのコンプレックスだけでご飯が食べれたりする。

実際人の嫌な所を見つけるのが趣味っていうのがコンプレックスの僕が、それを仕事に還元してご飯食べる事が出来ている訳だし。

 

物事なんて、とらえ方次第でどうにでもなる。
しかしながら、どうにでもなる事が出来る場所にいないとどうにもならないが。

 

人のコンプレックスを見つけて、そのコンプレックスをプラスの方向にもっていくって作業が好きだ。
本当は出役に憧れていたけど、裏方の方が全然向いてるなと本当に思う。
僕みたいなのが表に出ると、悪意が出過ぎて好感度が低くなるのだ。

誰かのフィルターを通して表現しているくらいがちょうどいい。

 

 

自分の短所を、さも長所の様にいったが、相手のコンプレックスを突いて一生のトラウマにさせるっていう行為を想像するだけで、今こうしてこの文章を書いているだけでゾクゾクしている僕はやっぱりダメな人間だと思う。

 

書きながら昔の話を思い出した。

 

僕の中学校、確か2年の頃だったろうか。総合学習っていうのを文化祭の代わりにする事になった。

総合学習っていうのは、要するに何の勉強してもいいですよって事だ。
数か月かけて勉強して、それを発表するという行事だ。

 

僕は友達のI君と色々な届け出について学ぶ事にした。
役所にいって、色々な届け出書類をもらってきた。婚姻届、離婚届、あと死亡届。

 

発表の日、僕等は模造紙にその研究内容を書き貼りだした。
それだけだと引きが弱いので、もらった届出書類をコピーして、見た人が持ち帰れるようにした。
表向きは熱心に取り組んでいる様にみえるが、僕の期待は別な所にあった。

 

中学生っていう残酷なコミュニティの中に死亡届っていうのをばらまいたら絶対に面白い、と。

なんて中学生だったんだろうと思う。
ただ僕はなんかそういう所があった。

 

案の定、その発表の日の放課後にはすでに数人のいじめられっ子の名前が死亡届の所に書き込まれ教室の掲示板に張り出されていた。
中には僕は少なくともいじめられているとは認識してなかった女の子の名前もあった。
そのタイミングで女子特有の仲間外れの標的になっていたんだろう。

死亡届は自分のクラスだけじゃなくて他のクラスにも悪ふざけの道具に使われたりしていた。

 

僕は、当然、悪く言われない。
むしろ、いちいち役所にまでいって書類をもらってきて皆に見てもらおうとしていたにも関わらずそれを悪用されてしまった被害者の様にうつる。

実際に死亡届に名前を書き込まれた子にだって僕は悪く思われなかっただろう。

 

ただ僕は計画的にやった悪い事だ。
僕が圧倒的に悪いのに、周りに責められない。

このシチュエーションに凄く興奮した。
今でもあの時背筋がゾクゾクしたのをリアルに思い出せるくらいにだ。

 

今でも、あの時名前を書かれてしまった人達はきっと覚えているだろう。
死亡届に名前をかかれるなんてことは中学生にとってはトラウマ級な事件に違いない。

 

自分が社会的な罪を背負わない様に、誰かの心を傷つけるという行為が性的に好きなんだと思う。
我ながらなかなかにスレスレな人間性だ。
直接傷つける行為が好きよりはマシか。

 

僕は自分でこういう事を言っちゃうタイプだけど、皆、言えないレベルで色々心の中にあるんだと思う。
人のそういう所に出会えたりするとゾクゾクしちゃうんだよなぁ。


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