少し前に古い友人に会った。

小中の同級生で10年ぶりくらいだったと思う。

 

同じ学校だった時はそんなに遊んでいなかったのに、高校生以降になってからはよく遊んだというちょっと変わった関係だった。

 

そのころはほぼ毎日お互いが何をしているかを把握してるくらい仲が良かったのに、10年も連絡をとってなかったのには、やはり原因がある。

 

原因は完全に僕だ。

当時の僕は荒れ狂っていた。
荒れていたといっても悪い事なんて酒とタバコくらいの話でとんでもない犯罪行為をしていたわけではない。

ただ性格が死ぬほど悪かった。

毎夜毎夜友達と飲んでは悪口ばっかりいっていた。
お前の夢はつまらないから死んだ方がいいとか、人の家庭の不幸をいじったりとかそんな事ばかり言っていた。

全く本当に最低な人間だった。

 

ちょうど17歳のころ、僕は人生のほとんど全てを懸けていたような部活動をやめた時だった。
毎日辛すぎて部活にいくか自殺するかというのを真剣に考えていた様な日々だったのを記憶している。

学校は地元では一番の進学校だったのに、部活に全てを懸けすぎて勉強はもう追いつかなくなっていた。
全てを懸けすぎてとはよくいいすぎかもしれない。実際先輩は部活も勉強も完璧にこなしていたりした。
僕のポテンシャルが低かったという事だろう。
結果部活も辞めてしまったわけだし。

 

本当に空っぽの時期が17歳のころだった。

勉強ももう追いつかない、というか追いつこうと思えば今考えると出来たんだろうが、怖くて自分の本当の学力と向き合う勇気が出なかった。

部活をやめる事で、僕は一生懸命やっても何かをやり遂げる事のできない人間である事を思い知らされた。

やろうと思ったらなんでもやれる。ただやろうと思える人間か思えない人間かというの間には大きな壁があって、僕は明らかに後者だった。
死ぬ気で飛び込む、いってしまえば死んでもいいという所までは飛び込めない人間だった。

 

そんな時に僕がすがり付いたのが過激である事だった。
人に理解されないような極論を地でいく人間になってしまえば、傷つかなくて済む。

そんな中でエロに出会った。
だから僕の風俗感、エロ感というのは非常に屈折している。
向き合った時期があんまりよくなかったんだろうなと今になって思う。

 

当時、寂しくて誰かと一緒に遊んでいたいのだが、「なんでこいつらが楽しそうに生きられてるんだ」という感情がずっとあった。

だからずっと悪態ばかりついていた。

家族ぐるみで宗教をやってる同級生を呼び出してただひたすらその悪口だけをいった事もあったなぁ。
よくそんな無駄な元気があったもんだ。

自分がバカにしていた人が夢をもっていたりするのが嫌で仕方がなかった。
絶対に叶わないと!だって俺が叶わないかもしれないんだぜ?お前が叶うはずないじゃん!という汚い感情である。

別にその人が自分に対して悪意を向けてきたわけでもなんでもないのに、そんな事ばっかりいっていた。

 

コミュニケーション能力はあったので友達は多かった。

だから人は周りにいた。

もうあの時期はその周りの友人を傷つける事でしか自分を確かめる手段がなかった。
リストカットみたいなものだ。
嫌ってほしいけど愛してほしいっていう感情の繰り返し。そんなメンヘラ君を愛してくれるはずがない。

 

 

結局、大学に行く予定の人生設計までぶち壊して僕はAV業界に入った。

そこからは東京で、別に自分なんかが怒りをぶちまけなくても刺激が回りにたくさんあったのでだいぶ精神的に落ち着いてきた。

当時みたいに意味不明に当たり散らす行為はしなくなった。

 

そして10年以上が過ぎ、この前その時僕が一番最低だった時期に一番迷惑をかけた友人に会った。

「いやーあの時大っ嫌いだったよー」と言ってくれた。

僕は「本当に申し訳ない」と謝った。ちょっとヘラヘラしてしまっていたかもしれない。もうちょっと真剣に謝りたかったけど、空気的にやめた。
なんとなく極楽とんぼの山本の復帰のシーンを思い出した。

 

何となく2時間くらいしゃべっただけだったけど、なんかとてもうれしかった。ずっと地元の人に謝る機会もないまま東京にずっといたものだから、どっかでずっと引っかかっていたのだ。

いつか改めて地元の人に謝罪行脚でもしたい。

 

 

 

今僕はロボットデリヘルという風俗を経営している。
女の子がしゃべらないというコンセプトだ。

人とのコミュニケーションに対する圧倒的な怯えがあったからこんな事を思いついたんだと思う。

要するに今僕がご飯食べれてるのは17歳のころのあの性格の悪かった僕のお陰な訳だ。

 

圧倒的に悪い事をしたとばかり思っていたのに、最近考え方がそんな風にちょっと変わってしまった。

あの時のエネルギーさえあればなんでもできるような気がする。
人を悪く言いたいわけではないけど、あのころに戻りたいとさえ思う。

 

 

いい事が必ずしもいい結果を招くわけでもないし、悪い事が必ずしも悪い結果を招くわけでもない。

 

僕は昔から「人生万事塞翁が馬」という言葉が好きだ。
好きだっただけで実感した事はそんなになかったんだけど、最近本当にそう思う。

 

空気を読む事よりも、前への推進力の方がよっぽど大切だったのかもしれない。

不思議に最近あの頃の性格悪かった僕の事を自分ですごく愛しく思ったりする。

 

 

 

友達に久しぶりに会って、なんだか昔の事をすごく思い出した。

 

いろいろと難しいけど、確実に言えるのは、友達は作っておくもんだって事だ。


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